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教育テック大学院大学を立ち上げた理由とこれからの展望

教育テック大学院大学を立ち上げた理由とこれからの展望

こんにちは。教育テック大学院大学で学長兼教授を務めております竹村です。
本学は、フルオンラインで専門職修士の学位を取得できる専門職大学院大学です。開設にあたり、私たちが大切にしているのは「教育を経営学と情報学の両面から支える」こと。教育現場の先生方や学校経営に携わる方々に、これまで不足していた視点を持っていただくことを目的としています。

私自身の研究の歩みと背景

こうした構想に行きついた背景には、私自身の研究者としての歩みがあります。私はコンピュータサイエンスを専門に、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)、すなわち「いかにコンピュータを人間にとって使いやすくするか」という研究を進めてきました。その過程で、バーチャルリアリティ(VR)や複合現実感(MR)といった、人間とコンピュータをより自然につなぐインタラクション技術にも取り組んできました。
また大学での業務としては、情報教育用のコンピュータ教室の運営や、ラーニングマネジメントシステム(LMS)と呼ばれる授業支援システムの導入・運用に携わってきました。教材配布、レポート提出、出席確認などをICTで支援する中で、先生方にとっての課題は「単なる使い方」ではなく、「どうすれば効果的な教育につながるのか」という点にあることを痛感しました。

学際的な融合が求められる理由

この経験から見えてきたのは、情報科学と教育学がまだ十分に融合していない現状です。教育工学やインストラクショナルデザインの知見は教育学寄りで、最先端の情報科学からは距離がある。一方で情報科学だけでは教育現場の実情を理解できない。そのギャップを埋めることが大きな課題だと気づきました。
そこで必要になるのは、教育学的な視点を持った情報科学のエンジニア、あるいは情報科学を理解した教育学の研究者です。そうした人材を育て、学際的に横断できるコミュニティを広げていくことが、ICTを活用した教育を社会に根づかせるためには不可欠だと考えるようになりました。これが、私が教育テック大学院大学の立ち上げに深く関わりたいと思った最大の理由です。

21世紀の教育に求められるもの

日本の教育は、産業革命以降の長い歴史のなかで大きな枠組みを変えずに運営され、世界的にも優れた成果をあげてきました。しかし、21世紀もすでに4分の1が過ぎ、さらに生成AIなどの新しい技術が登場した今、これまでの教育がそのまま社会で役立つ保証はなくなりつつあります。
これからは、学んだ知識をそのまま応用するだけではなく、社会の変化に合わせて自らのスキルや能力を磨き続ける「ライフロングラーニング」の力が欠かせません。こうした視点を踏まえ、私たちは新しい形の専門職大学院大学を創設しました。

有職者のためのフルオンライン大学院

私たちが特に意識したのは、現場で日々苦労している有職者の方々を支援することです。だからこそ、完全オンラインで学びやすい環境を整え、働きながらでも修士号を取得できる仕組みを整えました。
もちろん、一つの大学がすぐに日本全体の教育を変革できるわけではありません。ですが、ここで学んだ人材が教育現場や学校経営に新しい視点を持ち込み、少しずつでも変化を生み出していくことで、確実に教育の未来は変わっていくと信じています。

今後、本学の教員がそれぞれの専門性を活かしながら、教育改革への思いや取り組みを語っていきます。ぜひ引き続きご期待ください。

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