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子どもも大人もワクワクして目が輝く学びを ー 5人の子育てと教室運営、そして大学院への新しい挑戦ー

【教育イノベーター Voice   1期生リレー連載 No.9】

5人の子育てをしながら地域で英会話教室を立ち上げ、英語ミュージカル100演目超を実践してきた、2025年入学1期生 髙嶋 早由紀 さん
長年の現場経験と母親としての体験から、「幸福力を育む教育」の必要性を強く感じ、本学での学びをスタートしました。

AIや教育DXの最前線に触れながら、子育て・教育・社会課題をつなぐ視点で探究を深め、現在は「幸福力向上をめざす教育的アプローチ」を研究テーマに掲げています。
英語ミュージカルやディベート、親子コーチングなどの実践と往復させながら、家庭・地域・学校をつなぐ“新しい学びのモデル”の構築に挑戦中です。

本記事では、日常の中に学びと感動を育ててきた髙嶋さんの探究と、その先に見据える未来の教育像をご紹介します。

目次

  1. なぜ、今この大学院で学ぶのか
  2. 院生になってからの生活スタイル
  3. 学び始めて感じていること
  4. 今取り組んでいる研究・活動や面白さ
  5. 今後の展望と伝えたいこと
  6. PROFILE

1.なぜ、今この大学院で学ぶのか

 第1子の子育てを始めた25年前と比べ、女性の働き方や生き方、社会の子育ての捉え方、教育に求められるもの――すべてが大きく変わりました。この間、5人のわが子と、18年前に始めた地域の英会話教室での実践を通して、多くのことを学びました。

 教室では「学校教育に今、足りないもの」という視点を取り入れ、幼児から高校生まで長く通える環境を生かして、“生きる力育成”を意識した取り組みを続けてきました。その一つである「生きる力を育む英語ミュージカル」は、16年間で約100演目をホールで公演。感動と笑顔にあふれる時間を共に創りあげてきました。年齢や性格を問わず、出演者一人ひとりが輝く姿を見るたびに、「日本の子どもたちが表現を苦手とするのは教育環境が原因ではないか」という仮説を持つようになりました。

 一方、IT化・DX化が進むなかで、日本人の対人コミュニケーション力や幸福度、自己肯定感の低さが目立ち、「大人も子どもも疲れている」社会を実感しています。教育におけるITの最適活用と、幸せになるコミュニケーションの両立――この課題に正面から向き合い、理論と実践の両面から研究するため、本学の門を叩きました。フルオンラインの修士課程や助成制度は、家庭と仕事の両立を可能にし、私の挑戦を後押ししてくれています。

2.院生になってからの生活スタイル

 家事・育児・仕事と並行しての大学院生活。25年間で培った「高速家事」を活かして朝の90分で5人分のお弁当、一通りの家事、夕飯の仕込み、家族の送り出しを済ませて机に向かっています。

 受講と課題も、可能な限り効率化しています。フルオンライン社会人大学院の特質として、講義は動画でも受講可能。平日夜の講義は英会話教室のレッスン時間と重なるため、都合のよい時間に録画を視聴し、できるだけ早く課題に着手します。私の方法は、先に課題内容を確認し、生成AIに資料と講義内容を読み込ませ「課題のたたき台」を作成。その上で、自分が感じた疑問や掘り下げたい部分を整理し、講義を2倍速で聴いて狙いを定めた重要箇所を繰り返し確認しながら課題に追加修正を加え完成させます。
土曜日の講義はリアルタイムで参加できるため、できる限り顔出しで出席し、ディスカッションにも積極的に参加しました。発言することで理解が深まり、大学院生として学ぶ醍醐味を味わえます。

 業務の傍らで課題が溜まってピンチになりかけたこともありましたが、仲間と励まし合ったり、お手上げの科目は理系の夫に頼って課題を仕上げたり、約4か月で50以上もの課題を提出したのかと思うと青春してるなあ!と感じます。

3.学び始めて感じていること

 ありがたいのは、国内外から集まった多様なバックグラウンドを持つ仲間たちとの交流です。教育現場、企業、行政など、それぞれの経験から生まれる視点は刺激的で、自分の実践を客観的に見直すきっかけになっています。ITや教育データ分析、Well-beingや非認知能力育成の最新知見など、独学ではなかなかたどり着けない領域にも触れられています。
 特に「教育の最適化」において、テクノロジーは単なる効率化の道具ではなく、子どもの主体性や幸福感を高める“環境づくり”の鍵になるという確信が強まりました。同時に、それを現場で活かす難しさも痛感しています。 

4.今取り組んでいる研究・活動や面白さ

 研究テーマは「幸福力向上をめざす教育的アプローチ」です。物質的な満足や長寿を追い求める時代から、自分らしい幸せを自ら築く時代へと移り、求められる力も変化してきました。「幸福力」という目に見えにくい力を科学的に分析し、体系化することで、ワクワクと感動をもって学びに向かう大人や子どもを増やしたいと考えています。幸福度の向上は、学力や経済力、社会性だけでなく、国全体の活力にもつながる――これが私の仮説です。

 幸福力の要素を明確にして体系化できれば、日常の教育活動はもちろん、家事や育児にも応用できます。日々の時間の使い方に「幸福力育成」という視点があるかどうかで、大人も子どもも笑顔の輪が広がる。そのプロセスを再現可能な形にすることが私の挑戦です。

5.今後の展望と伝えたいこと

 今後は、幸福力育成の要素を明確化し、英語ミュージカルや英語ディベート、おやこコーチングなど、さまざまな形で「幸福力向上をめざす教育的アプローチ」を実践していきます。家庭・学校・地域・企業など、あらゆる教育の場で幸福度と学びの質を両立させるモデルを構築し、親や教師、地域リーダーが活用できる形で広めたいと考えています。

 家庭や地域からでも、未来を変える教育の種はまける。大きな仕組みや制度だけでなく、小さな実践の積み重ねが、やがて社会全体を動かす力になります。教育と幸福をつなぐこの探究を、卒業までに形にし、社会に還元していきたいです。


6.PROFILE

育児と仕事を両立しながら、英会話教室「Terakoya有隣学舎」を立ち上げ、19年間にわたり地域の親子と学びを共にしてきた。「英語を通して生きる力を育む」を理念に、英語ミュージカルを通じた表現教育にも注力し、100演目以上を上演している。

海外経験がほとんどない中で英検1級・TOEIC945点を取得し、英語コーチとしても活動。オンライン英語ディベートは300回を超える。また、子育て支援やキャリア形成に関するコーチング講座も開講し、多様な立場の人々の学びと成長を後押ししている。

研究テーマ
幸福度の向上を通じた国力強化の教育的アプローチ(仮)
ー英語ミュージカルを中心とする実践的提案

所属ゼミ
大和田 順子 教授 ゼミ

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