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「選ぶ・決める」文化を子どもへ──大学院での挑戦と、学校組織への問い直し

【EMBH Voice  1期生リレー連載 No.3】

「子どもが自ら学ぶ学校」を実現するためには、
ー教師のあり方や学校組織そのものを変える必要があるー、
そう考え、2025年入学1期生・館 雅之 さんは大学院での探究を始めました。
長年、公立小学校の学校経営に携わってきた経験をもとに、「子どもの学びのオーナーシップを支える学校経営モデル」を研究。教師が意思決定に参加でき、役割を選べる組織への転換を目指し、多様な仲間との対話や理論を糧に、現場と研究を往復しながら変革への道を切り拓いています。

「子どもが自ら問いを立て、学び方を選び、仲間と共に深め合う」。そのような学び、こうした教育観に触れたことで、教育テック大学院大学への入学を決意した館さん。

「子どもが自ら学ぶ学校」を本気で実現するために、まずは教師や学校組織そのものを問い直さなければならないと考えております。

校務を担いながらの学びは決して容易ではないようですが、すべての講義が即日でアーカイブ視聴可能であることが非常に助けになっているとの事で、受講が難しい日でも、自分のペースで視聴し、「個別最適な学び」を実現しており、忙しい業務の中でも高いモチベーションを維持に繋がっているとの事。

教育テック大学院大学での学びは、単なる理論ではなく、実践に根ざした希望。現場に立ち続けながら、未来の学校像を描いていく館さんの探求の旅を教育テック大学院大学が照らしていきます。

目次

  1. 変革への違和感と出会い
  2. なぜ、今この大学院で学ぶのか
  3. 多様な学びの仲間との出会い
  4. 研究テーマと着目点
  5. 学びを支える柔軟な環境
  6. 校長としての挑戦
  7. 探究の旅の始まり
  8. PROFILE

1.変革への違和感と出会い

私は長年、公立小学校で学校運営に携わってきましたが、「このままで良いのか」という違和感と葛藤を抱えながら日々を過ごしてきました。教員不足や若手教員の急増により、現場は日々の課題対応に追われ、ともすれば子どもたちの主体性を育む環境づくりが後回しになってしまう。そんな現実に対して、どこかで本質的な変化を起こさねばならないという強い思いが募っていました。そうした折に出会ったのが「イエナプラン教育」や「学びのオーナーシップ」という考え方です。

2.なぜ、今この大学院で学ぶのか

「子どもが自ら問いを立て、学び方を選び、仲間と共に深め合う」。そのような学びは、従来の「教師がすべてを決める」学校文化の延長では実現が困難です。こうした教育観に触れたことで、私は大学院大学への入学を決意しました。「子どもが自ら学ぶ学校」を本気で実現するために、まずは教師や学校組織そのものを問い直さなければならないと考えたからです。

3.多様な学びの仲間との出会い

入学後、最も驚いたのは、教育業界以外のバックグラウンドを持つ方々と出会える環境の豊かさでした。企業出身の方や行政分野で活躍していた方々との対話は、これまでの「学校では当たり前」とされてきたことを相対化する視点をもたらしてくれました。チーム運営の方法、人材育成の考え方、意思決定のプロセス──そうした対話から得られるヒントは、学校現場の改善にも直結しています。何より、自分自身の考え方や行動様式が少しずつ変容していく実感があり、「自分を変えられる」という手応えは大きな喜びです。

4.研究テーマと着目点

現在取り組んでいる研究テーマはまだ模索段階ですが、「子どもの学びのオーナーシップを支える学校経営モデルの構築」です。特に「教師の意思決定参加」と「ジョブ型職員組織の導入」に着目し、校内業務の可視化や分掌組織の再編、プロジェクト制の導入を考えています。こうした取組を通じて、子どもに限らず、教師自身にも「選び、決める文化」が根づくことで、学びの環境はさらに豊かになるのではないかと感じています。

5.学びを支える柔軟な環境

さらに、生活スタイルにも大きな変化がありました。校務を担いながらの学びは決して容易ではありませんが、すべての講義が即日でアーカイブ視聴可能であることが非常に助けになっています。当日の受講が難しい日でも、自分のペースで視聴し、必要に応じて繰り返し学ぶことができるのは、「個別最適な学び」にほかならず、時間のやりくりが難しい業務の中でも高いモチベーションを維持する原動力になっています。課題に取り組む際も、自分の関心に沿って実践と理論を往復しながら、資料取集や現場視察などを計画的に進めています。

6.校長としての挑戦

私は今、校長として「子どもに選ぶ自由を保障する学校」を目指しながら、その前提となる「教師が選べる組織」づくりに挑戦しています。教育改革は一朝一夕で成し遂げられるものではありませんが、「学校が子どもにとっても大人にとっても、共に育ち合う場であるべきだ」という信念のもと、研究と実践を行き来しながら歩みを進めています。

7.探究の旅の始まり

この大学院での学びを通じて得られたのは、単なる理論ではなく、実践に根ざした希望です。現場に立ち続けながら、未来の学校像を描いていく──そんな探究の旅はまだ始まったばかりですが、日々の変化がその道のりを確かに照らしてくれています。


8.PROFILE

小学校校長。これまで3校で校長を務め、「子どもに学びのオーナーシップを」を合言葉に、子どもたちが自ら学びを創り出せる学校づくりを推進。地域との協働を重視し、令和6年度には文部科学大臣表彰を受賞。
これまで小・中学校教員、教育委員会指導主事、副校長として幅広い教育現場を経験。専門は音楽教育で、合唱団の指揮や学習指導要領の作成にも携わる。バロック音楽や民俗音楽を愛し、オーボエやリコーダーの音色を心の糧としている。

所属ゼミ
妹尾 昌俊 教授 ゼミ

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