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学校・地域が連携した持続可能な実践モデル~長野県南箕輪村での挑戦

【教育イノベーター Voice 1期生リレー連載 No.5】

長野県南箕輪村で、子どもから大人までを対象にキャリア教育を実践するキャリアコンサルタントとして活躍する、2025年入学1期生 富岡 順子さん。
「大学院で学びたい」という想いを抱き続けながら、子育てや仕事と両立できるタイミングを模索していた中、教育テック大学院大学との出会いがすべてのピースをつなげました。

本学では、オンラインだからこそ可能な柔軟な学習スタイルと、AIや教育DXの活用による新しい学びのあり方に日々刺激を受けながら、実務と理論の往復を重ねています。
現在は「生涯学び続けるキャリア自律人材」を育てる地域モデルの開発をテーマに研究を進め、学びの成果を地域に還元する挑戦を続けています。

本記事では、学ぶことの喜びがどのように人生の可能性を広げていくのか、その歩みを辿ります。

目次

1.学びへの情熱が拓く、私の新たなキャリアパス

2.なぜ、今この大学院で学ぶのか  

全てのピースがカチッとハマった瞬間

3.社会人大学院生としての生活   

学びが人生を豊かにする 

AIとの共存で広がる学びの可能性

生涯学び続けるキャリア自律人材を育むために

4.PROFILE


1.学びへの情熱が拓く、私の新たなキャリアパス

「死ぬまでにやりたいことは?」、こんな質問を投げかけられました。仲間たちは「海外に行きたい」「〇〇へ行って絶景を見たい」と夢に目を輝かせていました。そんな中、私は「大学院に行って勉強したい」と回答しました。ただ一人、異なる選択肢を挙げた自分は、少しおかしいのかなと思ったのを覚えています。

高校で部活動に全力投球した私は勉強に躓きました。部活動に力を入れ、その結果、大学入試に失敗。これが、私にとって最初のアイデンティティ・クライシスでした。

入学した大学では心理学と教育学を学びました。大学での学びは自分の人生や抱えている課題と結びつけることができ、とても面白かったのです。「学ぶことってこんなに楽しいことなのか」と初めて知りました。高校時代の挫折体験がそれを可能にしたと思います。

私は現在、長野県の南箕輪村という小さな村でキャリアコンサルタントとして、子どもから大人までのキャリア教育に携わっています。「学ぶことの楽しさ」を伝え、誰もが豊かなキャリアを築けるお手伝いができたらと、日々奔走しています。コミュニケーションを通じて学びが深まる瞬間に最高の幸せを感じます。また、好きなことに向き合えば向き合うほど、新たな問いが生まれてくるものです。

2.なぜ、今この大学院で学ぶのか

全てのピースがカチッとハマった瞬間

「大学院で教育を専門的に学びたい」との思いは年々強くなっていました。しかし、大学院への入学は子育てが一段落する10年後かな…と半ば諦めていました。ところが、チャンスは予想よりも早く訪れました。完全オンラインで教育のMBAを目指せる大学院が開学したのです。
この出会いは、まさに「学びたい領域、環境、タイミング」、全てのピースがカチッと音を立ててハマる瞬間でした。“実践的な教育学の専門性”を追求できるカリキュラム、地方在住でも子育てと両立できる“完全オンラインの学習環境”、特に、現職のキャリアコンサルタントとして、理論と実践を結びつけて学びを深められる点が、この大学院を選ぶ決め手となりました。開学を知ったわずか4日後には書類を揃えて出願して入学。この決断の速さはスポーツで培った私の強みです。

3.社会人大学院生としての生活

学びが人生を豊かにする

大学院での学びは予想以上に面白いものです。180分があっという間に過ぎていきます。社会人経験を挟んだ大学院生という立場は、先生や仲間の言葉を実際の仕事の様々な場面に応用して想像することができ、一見関係ないように思える情報でさえも、自分の興味関心に繋がり、新たなアイデアへと変換されていくのです。授業で出会うあらゆる物事が面白く感じられ、人生がより豊かになっているのを日々感じています。

「入学後の生活スタイル」も大きく変わりました。朝5時、子どもたちが起きる前の時間や、子どもたちが寝た後時間を確保して集中的に課題に取り組みます。夏休みは家族で一緒に勉強するなど、学びが日常に溶け込んでいます。嬉しそうに勉強する母の姿を見て、子どもたちにも「勉強って楽しそうだな」という気持ちが伝染したら、こんなに幸せなことはありません。

「学習環境」も非常に充実しています。自宅にいながら講義を受けられるのは大きな魅力です。さまざまな事情でリアルタイム出席できない時は、オンデマンドで受講できるので、自分のペースで学びを深められます。

AIとの共存で広がる学びの可能性

この大学院を選んでよかったと特に感じていることの一つが、“生成AIとの学びを実体験として学べている点”です。これからの学びではAIとの共存は不可欠だと感じている私自身が学び手となり、試行錯誤しながら、AIと共存しながら、学びを深めています。
 難しい専門用語の説明、ディスカッション相手、アイデアの壁打ち相手や情報整理の補助など、「学びを加速させるためのツール」としてAIを活用しています。

生涯学び続けるキャリア自律人材を育むために

現在、「どのような学びの経験を蓄積すれば、生涯学び続けるキャリア自律人材が育つのか」を研究しています。研究の成果を活動拠点である南箕輪村で活かし、子どもから大人まで地域の人々が主体的に学び、学びを共有し、新たなスキルを習得できるコミュニティベースの学習プログラムを開発し、生涯にわたるキャリア形成を支援することを目指しています。

「自分が知らない知の世界を自分の目で見たい、仲間たちと新たな発見を楽しみたい」という思いは、「まだ行ったことがない世界を自分の目で見たい」という他の人の夢と同じだということに気づきました。

探究したいテーマに出会えたことは、私の人生で最高級の幸運です。学びは新たな視点を与え、人生を豊かにする力を持っています。新たな学びへの一歩を踏み出そうか迷っているなら、ぜひその心の声に耳を傾けてみてください。諦める必要はありません。オンライン学習の選択肢も増え、多様な学びの形が存在します。あなたの「死ぬまでにやりたいこと」の中に「学び」があるのならば、それはきっと、人生をより深く、より面白くしてくれるはずです。


4.PROFILE

◯コレカラボ-corecareerlab-代表 南箕輪村キャリア教育事業担当
◯キャリアコンサルタント/産業カウンセラー/アスリートキャリアコーディネーター
◯認定ワークショップデザイナー/ワーク・ライフバランス認定コンサルタント

大学卒業後地方銀行に入行、結婚を機に退職。その後専業主婦になったことでアイデンティティクライシスを経験するが、9歳から続けていたソフトテニスで不調を乗り越える。
2014年に夫の仕事の都合で長野県南箕輪村へ移住。結婚や出産というライフイベントによってキャリアが中断されることを経験し、一人ひとりがどんなことがあっても人生を乗り越えていける生きる力を育みたいと、「キャリア×教育×ワークショップ」を実践中。

研究テーマ:
学校・地域が連携した持続可能な実践モデルの構築 ー生涯学び続けるキャリア自律人材の育成に向けてー(仮)

所属ゼミ
 藤本 典裕 教授 ゼミ

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